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Q53.食生活と乳がん再発リスクとの間に関連はありますか。

「治療後にどのような食生活を送れば再発を予防できるか?」というテーマは非常に重要で、なおかつ関心の高いテーマです。実際に、脂肪、大豆製品やイソフラボン、乳製品、肉類の摂取など、再発リスクとの間の関連について関心の高い食品・栄養素は多々あります。なかでも大豆製品に多く含まれるイソフラボンは、Q1の「食生活と乳がん発症リスクとの関連」にもあるように、その構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ているため、体内でエストロゲンと同様の作用をすることで、乳がんの発症リスクや再発リスクを高めるのではないか?という懸念があります。現時点で、乳がんと診断された後の大豆製品の摂取状況と予後との関連をみた研究が3件ありますが、いずれも再発リスクを高めるという結果は出ていません。むしろなかにはリスクを低くするという結果もありますが、いずれにしてもまだ結論を出すには至っていません。また、乳製品や肉類の摂取については、これまでのところほとんど研究結果が出ていないのが現状です。

そのため今の段階で分かっていることは残念ながらわずかですが、逆に積極的に食生活を変えることを勧める研究結果も今のところありません。乳製品や肉類をまったく摂らないといったように、これまでの食生活を極端に変える必要はありません。ここではその中でも比較的エビデンスがある肥満、脂肪摂取、アルコールと乳がん再発リスクとの関連を取り上げて解説します。

また、治療を受けなかった乳房に、新たに発症するかもしれない乳がんのリスクも大切な問題です。したがって、Q1の「食生活と乳がん発症リスクとの関連」を参考に食生活を見直すことを、治療後の生活においてもお勧めします。

53-1.肥満は乳がん再発リスクと関連がありますか。

最初に乳がんと診断されたときに肥満であった患者さんの、乳がん再発リスクと乳がん死亡リスクが高いことは確実です。また、乳がんと診断された後に肥満になった患者さんの乳がん死亡リスクが高いこともほぼ確実です。すべての乳がん患者さんで、適切なカロリー摂取と適度な運動によって肥満を避けることが強く勧められます。

乳がんと診断されたときの肥満について

乳がんと診断されたときに肥満であったかどうかが、乳がん再発リスクと関連するかどうかを調べた報告はたくさんあります。それぞれの研究で肥満をどのように定義するかに若干の違いはありますが、ほとんどの研究で肥満の患者さんの乳がん再発リスクは1.4~1.8倍高いことが示されています。その原因としては、肥満の患者さんではホルモン療法のアロマターゼ阻害薬の効果が劣る可能性があること、術前化学療法の効果が劣ることなどが考えられています。

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乳がんと診断された後の肥満について

乳がんと診断された後に体重が増加した患者さんで、乳がん再発リスク、死亡リスクを調べた報告はわずかしかありません。ただ、その中の信頼性の高い報告では、体重がおおむね5kg以上増加すると乳がん死亡リスクが1.4倍から1.6倍程度増加することが示されています。

以上より、すべての乳がん患者さんで、適切なカロリー摂取と適度な運動により肥満を避けることが強く勧められます。また、今現在肥満の患者さんには、健康維持の観点から体重のコントロールをお勧めします。

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53-2.脂肪摂取は乳がん再発リスクと関連がありますか。

脂肪摂取と乳がん再発リスクの関連は明らかではありません。しかし、肥満と再発リスクには明らかな関連がありますので、肥満を避けるために適切なカロリー摂取と適度な運動を心がけましょう。

肥満と乳がん再発リスクには明らかな関連が示されています。では、肥満を招くおそれのある脂肪を多く含んだ食事を取ると乳がん再発リスクが増加するかどうか、この点を検討した報告は多くありません。ただほとんどの研究で、脂肪を多く含んだ食事摂取と乳がん再発リスク、死亡リスクとの間に関連は認められませんでした。

ただし、脂肪を多く含んだ食事を取ると太りやすいのは事実です。そして肥満が乳がん再発リスクを増加させるのは明らかです。脂肪摂取そのものが再発リスクを高めるわけではありませんが、日常生活において大切なことは、過度に脂肪摂取を制限するのではなく総カロリー摂取を制限し、適度な運動によって肥満を避けることです。必要以上に肉などの脂肪を含む食事を避けるのではなく、毎日たくさん食べない、総カロリーを調整する、運動でカロリーを消費するなどのバランスをとる工夫によって、太らないように注意することが大切です。

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53-3.アルコール飲料の摂取は乳がん再発の危険因子になりますか。

アルコール飲料の摂取が乳がんの再発リスクを高めるかどうかは結論が出ていません。ただし、新たな乳がんの発症リスクを考えると、飲酒は控えめにたしなむことが大切です。

飲酒により乳がん発症リスクが高くなることはほぼ確実です。しかし、治療後の飲酒が乳がん再発リスクと関係するかどうかについての研究は多くありません。また、その結果も一致していないことから、現時点ではアルコール飲料の摂取が乳がんの再発リスクを高めるかどうかについては結論が出ていません。

ただし、飲酒は今回治療を受けていない乳房の乳がん発症リスクや、他のがんの発症リスクも高めますから、お酒は控えめにたしなむことが大切です。